引越しの歴史
今でこそ引越しセンターや引越専門といった、引越しを専門に行う運送会社が数多く存在しますが、もともと引越しは一般の運送会社が業務の一部として取り扱うのみでした。
引越業は今ではサービス業などとも呼ばれるようになり、荷物の梱包や開梱、果てにはハウスクリーニングや物品販売なども手がけるところが出てきました。
その昔、引越しといえば運送会社に勤める知り合いに頼むか、町の運送屋さんに頼むしかありませんでした。
当時は車の運転ができる人自体が貴重な存在だったので、レンタカーを借りて、などというのは夢のような話だったのです。
どこかで引越しと聞けば、近所の人たちが手伝ってくれたものです。
当時の運送屋さんはその名のとおり、トラックでやって来て積まれた荷物を運ぶだけでした。
家具の搬入も搬出も設置もすべて自分たちでやらなければならなかったのです。
今ではとても考えられないことですが、たいした梱包もせず、平ボディーにシートをかけただけのかなりいい加減な輸送方法だったのではないかと思います。
今でこそちょっと荷物にキズをつけてしまっただけで大騒ぎになることもありますが、もともと私の周りに立派な家具を持っている人がいなかったのでしょうか、使えれば充分と、家具のキズなど気にする人もなかったように思います。
お皿なんぞ割れて当たり前という運送屋さんが強気で営業のできる時代でした。
しかし現在のように道路が整備されていたわけではなく、運送屋さんの数自体が少なかったので、当時の運転手さんはとても大事に扱われていたのを覚えています。
それこそ自分の全財産を預けるのですから、引越しは昔から人生の一大イベントだったのです。
引越屋は人生を運ぶ、と言われるのもこのあたりからきているのかもしれません。
昭和50年あたりからでしょうか。
形のない商品、引越しをテレビやラジオで売る運送会社が出てきました。
当時としては時代のニーズにマッチする商品だったようで、急激な成長を遂げたようです。
現代でもテレビCMを流す運送会社が限られていることを考えると、画期的な戦略だったのかもしれません。
みなさんも引越屋さんと聞くとまずテレビのCMをイメージしたりしませんか。
運送会社としては、これまでの運送料金に加えて作業料金を請求することができ、引越しをする人にとっては肉体的な負担が大幅に軽減できるのですから、引越業というのはまさに生まれるべくして生まれた産業なのかもしれません。
現在では引越業務しか行わない運送会社もあるぐらいですから、とても需要の高い産業であることは間違いありません。